中学の頃ギターを弾き始めました。
同じ時期に始めた友人が
「Fを弾けるようになって一人前」
みたいなことを言いながら、Fを鳴らす姿を私に見せつけてきました。
負けじと数ヶ月かけてFをどうにか鳴らせるようになり、少しずつ演奏テクニックも覚えていきました。
1年後、その友人はギターを辞め、更に5年後、生き残ったのは私だけでした。
たぶんそいつはモテたかったんでしょう。
そして、ギターを弾けても大してモテないことに気付いたんでしょう。
ちょっとチャラかったし。
ギターを始める理由は何でもいいです。
ぼっちちゃんに憧れてもいいし、モテたいと思ってもいいです。
モテたいと思って始めてもすぐ現実に気付きます。
モテる奴は何やっててもモテる、モテない奴は何やってもモテないということに。
それは登竜門という名の呪い
ギターを始めたばかりの人は、指は痛いし思ったように動かないし、ピックは上手く持てないしで本当に大変かと思います。
私もそうでした。
そのふにゃふにゃのぶきっちょな指でがんばってFコードを押さえても、綺麗にジャラ~ンと鳴らず、ペケペケ…みたいな変な音になってしまいます。
「負けイベントかな?」
と思って挫けそうになっているかもしれません。
最初にぶつかる壁として、幾万ものギター初心者を葬ってきた相手です。
無理もありません。
先日Twitter(現X)でこんな感じのツイート(現ポスト)を見ました。
「Fでギターを挫折したと言う人は、挫折したのではなく、ギターを辞める理由をFに見出した」
これは腑に落ちました。
特にギターを始めたばかりの人は、諸先輩方の言葉を傾聴する謙虚な人が多いです。
「Fを弾けて一人前」
この言葉を聞くと「Fを弾けない!なんて難しい楽器なんだ!!私には無理だ!!!」と思い込んでしまう傾向がある気がします。
そして見事に挫折をし、数年後に自己否定をしたくない一心で、初心者にこう言います。
「Fを弾けて一人前」
もしくは首尾よく通過できた人が自己肯定感を高めるために、初心者に同じことを言います。
こうしてこの言葉は呪詛となり、子々孫々受け継がれていきます。
呪詛返し
Fに限らず、コードの押さえ方は一つではないし、このFが弾けなくてもどうにでもなります。
そしてこのFを弾けるようになったとしても、悲しいかな上手くなるにつれ出番は減っていきます。
ひとまずFは置いといて他のことをやってれば、ギターを弾くポイントというかツボのようなものが身に付くので、そこから改めて挑戦すると
「前は綺麗に鳴らなかったけど久々にF弾いてみるか」
と思って気楽に挑戦すると弾けるようになってたりします。
なので、あまりこのフォームに拘って練習しても時間の無駄です。
自分を追い込むような練習は疲れるし、苦しいのが好きという人でもない限り楽しめません。
道は一つではありません。
そしてギターを始める理由が何でもいいように、辞める理由も「挫折」なんて如何にもな言葉を使わなくても
「面白くない」
だけでいいんです。
「音を出す」ということをじっくり味わいながら、今日も楽しくやっていきましょう。
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